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あなたは人を見るとき、まず最初に、どういう見方でその人を判断するでしょうか。感情的であるか、理知的であるか、それともオシャレであるかなどでしょうか。 他人を見るときのこの基準は、相手の性格を判断しようとしているのですが、じつはそこに、自分自身の性格を投影しているのです。 つまり、人を見るとき、「相手が感情的であるかそうでないか」と考える人は、自分自身が感情的であるか否かということに関心が強いのです。 自分の基本的な姿勢を知らず知らずのうちに相手への判断に投影し、それを判断基準としているわけです。 たとえば、相手が意地悪かそうでないかと考える人は、自分のなかにある意地悪な部分を意識しているか、あるいは意地悪に敏感になっているのです。 このように、自分の外の世界をとらえて判断するときに、その人が何を基準にするのかという見方のことを心理学では、「認知的枠組み(スキーマ)」といいます。自分の持っている枠で、ほかのものを見ているのです。 そういう意味では、相手を判断しようとしているとき、人は実際には自分自身を見ていることになるのかもしれません。 他人は自分を映し出す鏡というわけです。 ★ 自分のサングラスを外してみると真実が見える 好きな人の短所であれば、長所に見えなくもないが、嫌いな人になると、その長所を見つけるのは難しいものです。 これは「認知的枠組み(スキーマ)」から考えると当然といえます。つまり、長所があるから好きになった、短所ばかりだから嫌いになったのですし、そう考えるのが知的でもっともバランスがいいのです。 しかし、このような知的整合性を求めるあまり、逆に事実を曲解してしまう傾向が人間心理にはあります。人は、知性に頼りすぎているために判断を誤るケースが少なくないのです。これを心理学では、「ヒューリスティックス」と呼ばれています。 好きな人に欠点はない、嫌いな人は欠点だらけ、といった判断もこのヒューリスティックスの一つです。これは、赤いサングラスをかけて街を見ると、青も黄も何もかも赤みがかって見え、ブルーのサングラスだと青みがかって見えるのと同じです。 一つの対人的スキーマをもって見ると、そのスキーマどおりに見えてしまうのです。ですから、まずそのサングラスを取らなければ本当の色は見えません。つまり、相手の本当の性格はわからないのです。 ところが、サングラスなら外せますが、人のもっている対人的スキーマはそう簡単に外せるものではありません。私たちの対人スキーマは長い経験、人間関係のなかで形成され、身にしみ込んでしまっているやっかいなサングラスです。 では、どうすればうまくいくのでしょうか。 もし、あなたが、どうも自分は嫌いな人を見るとき、マイナスに評価しがちだと思えるときは、それを自覚してつき合うことです。そうすれば、不思議と嫌いな人の長所も見えてくるのです。
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