|
心理療法に「非指示的療法」という方法があります。別名「フムフム療法」といわれ、来談者が悩みを打ち明けた場合、「こうしなさい」と直接的な指示をせず、ただ「うん、うん」とうなずくのです。 指示を与えるより、このほうがよいといわれています。というのも、人は肯定的に評価されると、自信が生まれ、不安が取り除かれるのです。 特に、信頼する相手や尊敬している相手からうなずかれ、認められるとさらに効果は上がります。 そうすると、本来もっている自己成長欲求、自己実現欲求が働き、主体性と自主性をもって積極的に行動しようとします。 このように成長志向をすれば、悩みも不安も取り除かれ、いい解決策が自ら生み出されるのです。そして、そのような自己実現欲求は誰もが本来もっているもので、条件さえ整えば自己成長していけるのです。 その条件としてもっとも大切なのが自己肯定感です。 つまり、自分自身に対する自信、あるいはもっと広く、欠点を含めて自分を受け入れることです。 「まあ、欠点も多いけれど、がんばって生きていこう」といったトータルな肯定感です。このような自己肯定感を支えているのは、安定した好意的人間関係です。 批判や命令ばかりでは自己肯定感は得られません。支持され、肯定され、賞賛されて初めて自己肯定感が得られるのです。 もちろん、これはカウンセリングにかぎりません。 相手の話を聞き、同意し、支持することが相手を成長させると同時に、二人の人間関係をよくし、発展させるわけです。そんな自己肯定感を与えてくれる相手に、人は好意を抱くのです。 ★ 「人をほめる」と不愉快になることも 人は、特に男性は、同性の人間関係を優劣関係でとらえる傾向が強く、相手よりつねに優位でいたいとする心理傾向を強くもっています。そのため、相手をほめたり評価したりしようとすると、自分の評価が下がったような感覚になり、相対的に劣等感を覚えます。 たとえば、ライバルである同僚や、自分より下の部下をほめたり評価することは、心理的に大きな負担になります。誰かがある人をほめると、それだけで不愉快になる人がいます。不愉快さがあまってついには反論し、批判し始める人も出てくる始末です。 そんなときは得てして、その人がほめられていた人とライバル関係であったりするのです。ライバルがほめられたことにより、相対的に自分が低められたように感じるからです。
|
|
|||||||||||||||||||||||
Copyright (C)2015. 一瞬で見抜く性格・本性・心理 All rights reserved. |