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人間は、理想や夢を追いかけるからこそ、充実した人生を送ることができるのですが、ただ、やみくもに理想を追い求めるだけでは、現実生活を全うすることができないのも事実です。 理想に向かって努力することは大切なことですが、現実生活との折り合いも必要なのです。理想を常に胸に秘めて、それに向かって闘志を燃やしながら、理想が達するまでは、どこかで妥協しながら進んでいくしかないのです。 一番良い例が家作りではないでしょうか。 始めは、いろいろと家つくりに理想を秘めて、「庭はこうしよう」「床材は無垢のヒノキにしよう」「構造は地震に強い重量鉄骨にしよう」などと構想を練るものですが、問題は資金との関係です。 どうしても、理想を追い求めますと、資金不足になりますので、家作りもだんだんと用意できる資金の範囲に落ち着くように、材質を落としていくものです。これはビジネスでも日常の仕事でも同様です。 ただ、仲間同士で仕事などをしていますと、なかなか理想を掲げて折り合いをつけない人がいるのです。 たとえば、簡単な仕事を頼んだだけなのに、「もっと調査を徹底して資料集めをします」とか「手もどりしないよう、最初からきっちりしたデータを集めたうえで、やります」などといって、自らハードルを高くして、なかなか手をつけようとしないようなタイプがいます。 こういう人は、頭が固くて融通性がきかず、全体のストーリーが見えていないのです。 傍目には、完ぺき主義者で、マジメな印象があって、努力家のように見えますが、本当は、仕事ができないため、理想を掲げることでその仕事から逃げているだけなのです。 有能な社員なら、上司が仕事を頼んだときに、「いつまでに、その依頼された仕事をやればよいのか」「その頼まれた仕事は全体の仕事の流れの中で、どの程度の位置づけなのか」などということを、しっかり把握した上で、仕事のできばえを考えるものです。 些細な仕事にまで、力を注ぐ人はいません。 ですから、「納得できるものが完成したら提出します」と言うような人は、全体の仕事の流れの見えない、無能力な人なのです。 要は、理想を口にすることで、現実の仕事から逃避しているだけで、「完璧な仕事をしたい」などと言う人は、仕事の軽重が分かっていないのです。 |
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